藤屋のビジネスコラム
よほどの人でない限り、本当の意味での「自分の強み」を認識することは難しいと思う。先週の金曜日に、仕事の手伝いをしてくれている知人と電話で3時間ほど、私の事業展開について話した。
これまでも様々な立場の人から、様々なアドバイスを頂いていた。どれも正しかった。しかし、どこかに違和感があった。しっくりこなかったという方が正確なのだろうか?
たぶん、自分のほんとうにやりたいことではなかったのだと思う。また、気質にもあっていなかったのだと思う。さらには、本当の強みに基づくものではなかったのだとも思う。
金曜日に話した彼も、何度も私の事業展開について提案してくれたが、ピントがずれているような感じがしていた。だから、「何が違うか」「どのように違うのか」をはっきり伝えた。そして、話しているうちに、彼が私の潜在的なものを引き出してくれた。
このとき、はじめて私自身の本当の強み(コア・コンピタンス)に気づくことができた。
これまで、コンサルティングで多くの企業のV字回復の支援をしてきたのだが、それはドラッカー理論で実現できたと思っていた。
それも大きな要因であることは間違いない。人はすばらしい指導者や知人、書物と出会って、劇的に変わることができる。しかし、最も大切なものは本人の資質だ。それがなければどのような人でも、成果を継続的に発揮し続けることはできない。英語の「教育」(education)の語源は「引き出す」(educatus)という意味だそうだ。それだと教育者やコーチの役割も明確になる。「押し付けるのではなく引き出す」ことである。
「気づいていない強み(セールスポイントのもと)の発見・発掘」×「実績の出るマネジメント(仕組み化と運用)の構築」=「驚異的な成果」
つまり、お客様企業自身で気ついていない強み(コア・コンピタンス)を発見・発掘し、それをセールスポイントとして打ち出し、そのセールスポイントを実行する仕組みをつくり、運用面で徹底してもらっていたのだ。
だから、提案を実行してくれる担当者レベルの人がお客様企業にいないと成果は出なかった。経営コンサルタントという立場からすれば当然の結果である。今回のことで、私自身の強み(能力)と気質(向き不向き)と限界(制約条件)も明らかになった。これで事業の方向性と仕事のやり方がはっきりした。
本当の強みの源泉は、意識的に行ってきた努力(学習と経験)の外にあった。これに気づいたことで、さらに強みを強化することができる。これによって、これまで強みと思ってきたこと(ドラッカー理論の適用や応用)も、さらに活かせるようになるだろう。
余談になるが、彼が私に気づかせてくれたことは、そのまま彼にも当てはまる。その点から見ると教育は相互作用であり、相互成長である。そのことをドラッカーは「教えるときに最も学ぶ」と表現している。たぶん、彼も、これから仕事のやり方が変わると思う。
一生懸命努力しても、その努力の大部分が「熱」(目的以外のコスト)に使われ、本来の目的である「光」(成果)には少ししか貢献しない努力を、「白熱電灯型努力」と称してもよいのではないだろうか?
それに比べ、LED電灯は、光への転換が圧倒的に多く(逆に言えば省エネ)、コストパフォーマンスが非常によいとのことである。このような努力と成果が直結するような方法を「LED電灯型努力」と称してみよう。
大企業でも、新入社員研修や階層別研修、機能(職種)別研修を受けても、会社全体をとらえたり、自分の仕事人生の全体をとらえたりする研修や勉強をする機会は少なかったと思う。大企業でもそうなのだから、中堅・中小企業に勤めている人はさらにそうした機会に恵まれていないと思われる。
この状態では、どのように頑張っても「白熱電灯型努力」にしかならないのではないだろうか? 努力自体が「今、現在をどうするか?」の「部分最適」になっているからである。努力は、つねに全体最適から入っていかなければ効果は薄い。
そこで、「白熱電灯型努力」から「LED電灯型努力」に転換するため、20代からドラッカーの思考法を身につけることが可能な下記のような著書(まだタイトルは未定)を書いた。これは7月中旬くらいに発売になる予定である。
●ドラッカーがビジネスに与えた衝撃
●なぜ会社は存続できるのか? ~マーケティング~
●あなたの会社の強みはどこにあるか? ~戦略~
●あなたは「何を達成するため」に働いているのか? ~目標による管理~
●気合と根性だけで、会社は運営できるのか? ~狭義のマネジメント~
●あなたは「新しい価値」を創り出せるか? ~イノベーション~
これと連動してTSUTAYAを展開するCCC(カルチャー・コンビニエンス・クラブ)から同名のDVDがほぼ同時にレンタル開始になる。読書が苦手な人に読書を強(し)いるのは「白熱電灯型努力」である。DVDであれば、視覚から入れるのでお手軽だ。こちらは省エネ型の「LED電灯型努力」と言えるだろう。
「LED電灯型努力」が必要なのは、若い人にかぎったことではない。変化の激しい知識社会で仕事をする私たちにとって、生涯学習が欠かせなくなっている。気合い・根性は必要だが、それだけでは競争に勝てない。経営の原理原則や変化をとらえるための情報収集、新しい手法・技術など、つねに努力を成果に結びつける「省エネ型努力」の方法を身につけることが必要な経営環境である。
かつて植木等さんが「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ」と歌った頃には戻れそうにない。さらに、経営者はたいへんだ。今日の新聞にも、「10年前に比べゴルフを趣味にあげている経営者は6%くらい減少している」と出ていた。こうしたデータがきびしい現実を表している。
ドラッカーブームで私の著書も売れている。4冊の既刊書があるが「すごく」と「まあまあ」と「それほど」にわかれている。アマゾンの売上ランキングやその他のベストセラー情報から、他のドラッカー本も同じような傾向があるのではないかと思った。
そのあたりの理由を、すごく(44,000部)売れている『図解で学ぶドラッカー入門』(日本能率協会マネジメントセンター)の編集者に、「一般論で結構です」という前提で尋ねてみた。以下が、その回答の要約だ。
たしかに、たくさん出ているドラッカー本でも、売れているのはごく一部だ。これは、「ドラッカーブームだから、ドラッカーの入門書を読みたい」と思う人が、今、多いのだと思う。そういう人であれば、やはり「ドラッカー入門」を選ぶだろう。
『図解で学ぶドラッカー入門』が売れているという意味では、「ドラッカー」のきちんとした"図解入門書"というのが、今まで出版されていなかったことになる。『図解で学ぶドラッカー入門』は、ニーズにぴったりそった市場に、一番乗りできたのだろう。
私(編集者)は稚拙ながら、「読者」と「ニーズ」と「売り場」と「売り場のプレーヤー数」などを意識しながら企画と編集をしている。そうした視点で見ると、この現象は原則にそった動きではないだろうか。
市場シェアのナンバーワン、ナンバーツウは、市場が拡大すればその恩恵をもっとも得やすいポジションだ。反対に、縮小するときにも、その影響がもっとも後になるポジションである。
2年弱前に、企画原稿を送ったときに、企画とはまったく違う「入門みたいな形にしたい」と編集者に言われ、「ドラッカーであれば、どうにでも書けます」と答えて出来た本が『図解で学ぶドラッカー入門』である。
ドラッカーブームが来たということは好運である。自分で巻き起こせる風ではない。しかし、偶然でもない。私には、一昨年の企画の段階から、「来年(2009年)はドラッカー生誕100年」ということは知っていた。そして、「かならずブームが来る。それまでに数冊出版して、何としてもそのブームに乗りたい」という強い気持ちがあった。
私のドラッカーの知識を、編集者のマーケティング志向で表現したから「売れた」(今も売れている:アマゾンのドラッカー関連ランキング8位、16日現在)のだ。他の3冊の著書も、経営に使えるという意味では、『図解で学ぶドラッカー入門』以上に良い本だと思っている。しかし、運を引き寄せるには「マーケティング志向」は欠かせない。良いかどうかは、読者が決めることだからである。
先週の日経新聞の一面の特集で、「ニッポンの農力」というのがあった。その第1回目は「戸別補償の憂うつ、生産性そぐ"もろ刃の剣"」であった。しかし、「もろ刃の剣」は間違いである。一律の補償は政策的には戦略を無視した駄策であるし、受けるほうにとってはやる気をそぐ「自分のほうにだけ刃がある剣」にすぎない。
「アメリカでは、大豆のように補償のなかった農産物が成功する一方で、補償を受けていたトウモロコシ、小麦、綿は不振のまま」とネクスト・ソサエティ(ドラッカー著)にある。
また、かつて同時期に失業率が急上昇したアメリカとドイツの例がある。ともに失業対策をとったのであるが、アメリカは再就職訓練を対策とし、ドイツは失業者への給付金を対策とした。結果はどうだったか。アメリカは急速に失業率が改善し、一方のドイツは、失業率の改善は見られなかった。
これらの教訓から明らかにされるのは、自然の摂理である。野生動物も、餌づけをすると自分で餌(えさ)を獲らなくなる。そしてやがて獲れなくなる。これが、人間でも起こる。
競争力のない産業や企業、過剰雇用の成熟産業・衰退産業に金をつぎ込む政策は害をなすだけである。つぎ込むべきは、次なる成長産業である。そうすることで、成長産業や衰退産業でも供給者の淘汰(とうた)が進み、需要と供給のバランスがとれるようになり、過当競争がなくなり、個別企業の利益も確保できるようになる。
企業においても状況は変わらない。どの事業や商品に力を入れるかを決めるのは、市場であり、お客様である。それに反しての経営資源の投入は、上記の政策と同じく、浪費以外の何物でもない。
経営の前提となる「環境」が変わったのである。餌づけをするより、新しい獲物がいる市場に移行し、社員にはそこでの餌の獲り方(働き方・成果のあげ方)を教えることだ。
男子プロゴルフツアー:中日クラウンズで石川遼選手が最終日に58というコースレコードを出し優勝した。
この「和合コース」は、距離が短く(6,454ヤード、パー70)、フェアウエーが狭いうえに、起伏がある狭いグリーンだそうだ。かつ、風の影響も受けやすいとのこと。
したがって、飛距離よりも正確性を重視することが「攻略の定説」だったそうだ。
そこを石川選手は攻めた。理由は「フェアウエーから残り100ヤードを打つより、ラフから50ヤードを打つほうが寄るのではないかと思った」からだそうだ。そういう考え方は、これまでのゴルフの世界では異端だったに違いない。彼にとっては「全ホール、バーディをめざすのが彼流の平常心」だという。
今年のスタートは最悪だった。アメリカでは散々な成績で、国内初戦は予選落ち。それでも委縮することなく平常心を貫く。人の常識ではなく、自分のスタイルを貫く。それを実行するために、人一倍の練習をしていることだろう。
これで「和合コース攻略の常識」が変わるという。彼はゴルフ界のイノベーターである。人がつくった常識を踏襲するほうが気楽だ。もし、今回成績が悪ければ、「常識をわきまえないはねっかえり」「若気のいたり」と酷評されたことだろう。昨年の全英オープンの時のように。
たぶん、石川選手にとっては、高村光太郎の『道程』のように、「僕の前に道はない。僕の後に道はできる」のだろう。私たちも変革期の経営環境の下では、そうありたいものだ。
そう言えば、私も若い頃、趣味でボーリングをしていたときには、はじめはパーフェクトをねらう。それが叶わなければノーミスをねらう。ミスが出ると200アップをねらう。それもダメなときは1ピンでも多くをモットーにしていた。「体調が悪いから、はじめから○○ねらい」と思ったことはなかった。石川選手の勇気にふれ、そういうことまで思い出した。
前回のビジネスコラム004では、会社の経営改革のために戦略プロジェクトチームを発足させ、営業の方々に「お客様の困った」を集めてもらうようした。
だが、担当者は集めた段階で作業を終えている。そう言えば「"お客様の困った"を集めてください」としか言っていなかった。たぶん、私のミスだ。でも、彼は何のために集めたのだろう? 私に言われたからか? 集めた情報の中には、重要かつ彼の権限でできることも多かったのに。。。
戦略プロジェクトでは、集めた情報を、お客様の業態別、業態ごとの職務別に細分化する。それをさらに、それぞれ(1)会社で対応すべきこと、(2)個々人で対応すべきこと、(3)会社の対応基準から外れていること、対応に値しないことにわける。これに2時間以上かかる。(2)は各担当に振る、(3)は無視。プロジェクトでは(1)だけに集中することになった。
そして見えてきたこと。(1)自社だけで対応できること、(2)専門業者や専門家と連携すればできること、(3)"お客様の困った"は解消できるが、当社のビジネスには結びつかないこと、(4)自社では対応できないこと、がある。
そして、強みを活かせば、無限の可能性が広がることを確認できた。とくに(2)の視点に欠けていたことだ。これまで、自社だけでできなければ、「できない」と考えていた。しかし、この視点から見ると、自社に魅力的なものは、協力を要請したい企業にとっても、たいへん魅力的であることがわかった。
それとともに、課題も浮き彫りになってきた。そもそもお客様から"困っていること"としてあがってくること自体が、自社のセールスポイントからみておかしいものがあったことだ。徹底できていないのだ。
この分析結果はいったん置いておく。お客様を創造するためには、(1)ニーズに応えること、(2)ニーズを創り出すこと、がある。このプロジェクトが次にすべきことは、(2)のニーズを創り出すことである。このことについては、お客様は困っていないのだから、聞いても仕方がない。これは、現場に出て、消費者をよく観、消費者からよく聴くこと以外にない。それがこれからのプロジェクトの仕事である。ちなみに、この会社のお客様は、消費者を対象とする法人である。
売上の低迷が続いている企業が多い。景気は回復基調だというが、それは経済全体での話。多くの業種や個別企業は、この状況を自ら切り拓く以外にない。
現在、ある企業の戦略策定で自社の現実を見るために「SWOT分析」をやっているところだ。SWOT分析とは、外部環境を「機会」「脅威」にわけ、内部環境を「強み」と「弱み」にわけて、SをTにぶつけてビジネスチャンスを見つけ出す手法である。
ところが、この分類がむずかしい。一般論でのS(強み:strengths)W(弱み:weaknesses)O(機会:opportunities)T(脅威:threats)はわかるが、自社にとって「何がほんとうのチャンスで、何がほんとうの脅威か」わからない。また、「何がほんとうの強みか」さえもわからない。ただし、「弱み」だけは、誰にでもわかる。しかし、仮にわかっていても、その効率的な対処方法がわからない。
そこで一計。形にこだわるのをやめてみよう。そして、次のように考える。社会の「困ったの解消」が事業であり商品である。企業におけるチャンスは、この「困った」を見つけ出し、その解消方法である商品やサービスを開発する、あるいは、探しだして市場やお客様に提案・提供することだ。
そこで、経営改革のための戦略プロジェクトを発足させる。戦略プロジェクトは、社長を筆頭に優秀な中間管理職数名で構成したチームである。
そして、最初は営業関係の方々に、お客様の「困った」を集めて頂く。そして、自社で対応できれば機会に、対応できなければ脅威に分類する。
さらに、自社で対応できる機会を、「他社にも対応できそうなもの」と「他社では対応できないもの」に分ける。前者は「他社よりも上手にできるか?」を自問する。「Yes」ならば、すぐに事業化・商品化する。後者ならばビッグチャンスである。この「Yes」が強みである。
もし、「No」ならば、自社で対応できなくて脅威に分類したものといっしょに「何があれば対応可能か?」「それは手に入るか?」を自問する。どうしても対応できないことが弱みである。そして「No」のうち、「何があれば対応可能か?」「それは手に入るか?」が克服すべき弱みとなる。
SWOT分析を、むずかしく考える必要はない。ビジネスの基本から入ればよい。困らなければお客様は買わない。困るから買うのである。あるいは、もっとよくなりたいから買うのである。これがマーケティングの基本でもある。
このような経営環境では、困っていない人や企業はない。もっとよくなりたいと思わない人や企業もいない。ニーズはある。現場に出て、よく観、よく聴いて探せばよい。このような経営環境だからこそ、マーケティング志向を貫こう。そうすれば、リスクが少なく、無競争の事業や商品を手に入れることができる。
社員あるいは部下に「わかったか?」と聞くと、たいてい「わかりました」と答える。それでできるかといえば、できていない。このようなことは日常茶飯事に起こっていることだろう。では、彼ら・彼女たちはウソをついているのだろうか?
たぶん、そうではなく、ほんとうに「わかったつもり」でいるのだ。ただし、上司が求める「わかったか?」は「できるか?」「やるか?」と尋ねているのに対して、彼ら・彼女たちは「言っている日本語がわかった」と答えている。つまり、「わかった」のレベルが違うのだ。
この認識の違いが、コミュニケーション・ギャップとなって業績を左右するのである。これからは「わかったか?」のあとに、必ず「できるか?」と問い、「どのようにしてやるか?」を確認してみよう。その方法に納得がいけば、彼ら・彼女たちの「わかった」が、はじめて「できる」の意味になる。
これと同じようなことが読書にも言える。皆さんの中には、読書好きな方も多いと思う。趣味で読んでいる人はどのような読み方でも良いが、勉強で読んでいる「つもり」の人、仕事の一環として読んでいる「はず」の人の読書は、上記の「わかった」のレベルのどちらの段階なのか確認してみる必要がある。
一月にビジネス本を10冊程度読む人もいるだろう。では、それをどの程度、仕事に活かせているのだろうか。努力ほどには業績が向上していないのではないか。もしそうならば、読書のやり方を変えたほうがよい。
私は、ドラッカーの著書を160回以上読んでいる。とくに『現代の経営』『創造する経営者』『経営者の条件』『イノベーションの企業家精神』と、上田惇生さんが編集し直した『チェンジリーダーの条件』『プロフェッショナルの条件』は、かなり読み込んでいる。
ドラッカーの著書でも10回読むと「わかったつもり」になる。しかし、思考も変わっていないし、実行もできていない。これが50回になるとキーワードがすらすら出てくるようになる。しかし、ドラッカーの思考法が身についているかと聞かれれば、「まだまだ」と答えるしかない。
そうして100回を超えるようになると、どこからどこまでがドラッカーの教えで、どこからどこまでが自分オリジナルの考えなのか、区別がつかないようになる。もちろん、その間には、ただ読むだけでなく、自分なりにまとめたり図解化したりして、理解を深める努力はしてきた。
この頃からコンサルティングのスキルが急激に変化、向上してきた。知識の引き出しが無数に増え、経験も相まって応用力・対応力が増してきたのだと思う。
「読書百遍、意、自ずから通ず」とはよく言ったもので、原理・原則となるドラッカーも、それくらい読まないと、「ほんとうに使いこなせるレベル」には、ならないのではないだろうか? もちろん、個人差はある。
ダイエー創業者の中内功さんは、『現代の経営』をボロボロになるまで読んだそうだし、ユニクロの柳井正さんも同じくらい読み込んでいるだろう。
皆さんも、読書で業績を向上させたいのであれば、次のような読書法をお勧めする。まず、ドラッカーの『現代の経営』(上下巻)を30回ずつ読んでみる。これで1年くらいはかかるだろう。次に、ドラッカーの戦略の本である『創造する経営者』を30回くらいと、自己実現の本である『経営者の条件』を20回くらい読んでみる。その後、また『現代の経営』を20回くらい読んでみる。
これだけ読むと、業績に必ず変化が出てくる。そして、他の本を読む理解力がまったく違う次元になる。それ以上に、つまらない本を読む気がしなくなる。おそらく、ビジネス書・経営書でも古典と言われるジャンルの本を好むようになると思う。
剣豪の宮本武蔵は、"千回のけいこを「鍛」といい、一万回のけいこを「錬」という"と言う意味のことを言ったそうだ。「わかった」とは、そういうレベルのことをいうのではないだろうか。
御社で3億円の投資案件が持ちあがったら、どのような検討がされるのだろうか?
社長は「忙しいから」という理由で担当者に任せっきりにするのだろうか?
自分が直接かかわる時間は、せいぜい30分程度で済ますのだろうか?
そんなことはしないはずだ。
しかし、同じ3億円投資案件でも「人の採用」では、それほど力を入れていない経営者がほとんどだ。
設備ではくり返し時間をかけてじっくり性能検査や性能チェックを行なうはずだ。それが、人の採用では実にいい加減だ。適性検査さえやっていない企業もある。そうした経営者も、口では「企業は人なり」と言っている。この矛盾をどう説明するのか?
新卒から雇用すれば、生涯賃金と付帯費用・間接費用は3億円に近くなるはずだ。ちなみに、1人当たりの年間人件費は月給の20倍で計算すると近似値になる。
また、投資後の関心も設備や施設投資ほど持っていない。機械であれば稼働率、工場であれば操業度が気になってしかたがないと思うが、人材に対する投資効率のチェックはほとんどしない。
機械や設備は、インプットしただけしかアウトプットしない。つまり、性能が固定しており、上限の成果も決まっている。
ところが人材だけは、下限も上限も決まっていない。放置するとたんなるコストにもなるし、教育・訓練次第では至宝にもなり得る。
中間層に人材が乏しく、教育できる人がいない中小・中堅企業では、もっと、社長自らが人材教育に時間とエネルギーを費やすことだ。毎週1時間程度の継続教育を1年間実施する方が、自分だけで24時間365日飛び回るよりも、将来にも結びつくより高く成果をもたらす。
今からでも遅くはない。今年入社した社員の教育計画を見直し、自分の価値観にあった社員に育成するため、社長自ら社員教育に取り組んでみたらいかがだろうか?
練習もさせずに試合に出すより、できるようになるまで練習させて、試合に臨ませた方が勝つ確率は高くなる。それをやっていないのは時間がないからではない。社長にやる気がないからだ。社長の中での優先順位が低いだけなのだ。
1人3億円の投資である。優先順位も高いと思うし、やる価値は十分にあると思う。